【融資】現役銀行マンの融資時に見る決算書の場所

決算書

目次

融資をお願いする時に決算書や試算表を渡すけど

特にどこを見ているの?

貸借対照表、損益計算書を始めに見ますが

勘定科目内訳明細書、別表などのほぼ全ての内容を見ています。

見ている中でも貸借対照表、損益計算書に着目して話したいと思います。
過去に掲載しました「格付け」記事も読んでいただけると財務諸表による評価基準が分かり易いと思います。

銀行の行う企業格付け!企業が銀行からお金を調達する際に押さえておきたいポイントです。 | 真五ブログ (shin55555.com)

 

1.貸借対照表

まず貸借対照表の中身を見ていきたいと思います。

貸借対照表は…会社の財務状態が一覧表として示されており、資産の部(流動資産・固定資産)、負債の部(流動負債・固定負債)、純資産の部に分かれています。
B/S(バランスシート)と表現されるのは左右の合計が同じになるからです。

主に分かるのは

〇会社設立以来の歴史が数値として分かる
〇会社の財務状況が分かる
〇会社の安全性が分かる
〇粉飾決算も判断しやすい
図で示しますと下記のようになります。
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左側の資産が会社の資金の使い道がどうなっているか見ることの出来ます。

図では流動資産と固定資産に分かれていますが、

流動資産1年以内に現金化されるもの。現金の流れが早いものが上になります。当然、現預金が一番上になります。
流動資産を見ることで現在の手元資金がどういう状況であるか判断します。
現預金がどれくらいあり、売掛金(将来的に金銭を受け取る権利)、棚卸(在庫)の状況も確認します。
1期の決算だけでなく最低3期分は見て比較を行います。
特に売掛金と棚卸については過去と比較すると粉飾決算かどうかも分かります。
売上が伸びていないのにこの2つの数値があがっていると粉飾臭いなと思います。
売掛金、棚卸の中身を見ると売掛金の焦げ付き(回収が難しい)、不良在庫があるなどが分かります。
貸付金があがっていると会社のお金を誰かに貸していることになりますので、貸付金は内容と今後の返済計画まで細かく聞き取ります。
固定資産…有形固定資産(建物、土地など)・無形固定資産(ソフトウェア、のれんなど)・投資その他の資産(有価証券、保険積立など)、繰延資産(礼金、開業費など)に分かれます。
固定資産については自社で不動産、機械などを保有しているか確認します。
有価証券、保険積立金、保証金があるかも確認します。
有価証券、保険積立金などは現金化出来るのでプラス要素として見れます。
固定資産は企業が資金をどのように投資してきたのか、資産背景がどうであるかが分かります。
開業が浅い企業であれば繰延資産として開業費が計上されていることがありますが、開業費は一旦資産として計上し、いずれ損益計算書の経費として計上することが出来ます。
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次に右上の負債について見ます。
負債の部は自社以外から調達した資本が計上されます。
資産と同様、流動負債と固定負債に分かれています。
流動負債…買掛金、支払手形、短期借入金など1年以内に期日が到来するものが計上されています。
未払い関連、預り金なども掲載されております。
売掛債権(売掛金、受取手形)+棚卸資産ー支払債務(買掛金+支払手形)が基本的に必要となる運転資金の為、流動資産と流動負債を同時に見ます。短期借入金についてもどれだけの融資または代表借り入れがあるか確認します。
固定負債…退職給付引当金、賞与引当金等がありますが、最も注目するのが長期借入金です。長期借入金は金融機関より調達した資金の為、どれだけの借入金があるか確認します。売上に対して借入金が多いなども検証します。
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右下にあります純資産(資本)の部です。
大きく分けると「資本金」、「資本剰余金」、「利益余剰金」があり、出資金した金額、利益により積み上げた金額が計上されています。
純資産の部が大きければ会社としての資本があり、体力のある会社と判断します。
逆に純資産がマイナスになっていると債務超過となっており負債総額が資産総額を超えている状態になっています。
純資産が積み上げっているかどうかで融資する際の条件(金利、担保、保証人)は大きく変わります。
また、事業承継、M&Aの際も純資産が豊富であれば高く会社、株式を売ることが出来ます。

2.損益計算書

次に損益計算書についてです。

損益計算書は…会社が1年間でどれだけの売上を上げて、どれだけの仕入を行い、経費がどれだけかかり、利益を確保したかを表す一覧表です。

ソース画像を表示

損益計算書は一番上の売上から最も下の当期利益まで足し算、引き算をしていきます。

売上-売上原価(期首棚卸+仕入-期末棚卸)=売上総利益…粗利(あらり)とも言います。売上総利益÷売上をすると売上総利益率が出てきます。
売上総利益率は高ければ利益率が高く原価をかけずに商売が出来ていることを示します。
売上総利益-販売費および一般管理費(販管費)=営業利益…営業利益は本業でどれだけ利益を出したかが分かります。ここで利益が残っていなければ本業で稼ぎが出せていないことになります。同時に販管費の中身(役員報酬、給与、地代家賃、宣伝広告費、交際費、減価償却費など)を細かく精査し、例年と違う数値や見直しが必要な数字については経営者に確認をします。
営業利益+営業外収益-営業外費用=経常利益…経常利益は営業以外で入ってきた収益、費用を営業利益に加算、減算します。今であればコロナによる持続化給付金などは雑収入として営業外収益に計上されています。よって、コロナ禍では営業利益がマイナスですが経常利益でプラスになっている企業が多いと思います。
経常利益+特別利益-特別損失=税引前当期純利益…経常利益より資産を売却して得た利益または株式を売却して損失となった数字などが、ここで加算、減算され、税引前の利益が確定します。
税引前当期純利益-法人税、住民税および事業税=当期純利益…ここが最終売上からすべての経費を差し引いた数字が確定され、この数字が貸借対照表の資本の部に連結されます。

この点も細かく過去と比較して数字を見ます。
同時に今後の予測についても確認します。

3.勘定科目内訳明細書、その他

勘定科目内訳明細書は貸借対照表および損益計算書の内容を更に細かく表記した明細書になります。
これにより預金がどこにあり、借入金はどこからしているかなど細かくチェックをします。

こんな感じです。

その他に別表から株式の割合、税金の滞納、固定資産の償却内容等の確認。
法人事業概況説明書から従業員の数や月別の売上、仕入、顧問税理士の確認も行っています。

その後に格付を行うため、その際はCF分析表など更に細かく財務内容を見ています。

4.最後に

ざっとした内容での説明になりましたが、お客様より決算書をお預かりした際は上記にて述べた内容を見ております。
その場で見て、帰店後に更に細かく見ています。

よって、銀行の営業マンは必ず財務諸表が読めなければ本業での営業活動が円滑にできないと言えるでしょう。

こんな本もありますので参考に!!

書籍 | 財務で切り込む法人営業 | 近代セールス社ブックストア (kindai-sales.co.jp)!

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